子宮頸がんは全国で毎年約1万人の女性が発症し、約3千人の命を奪っています。
また、最新のがん統計によれば、男女を通じて唯一の「死亡率の増加しているがん」です。
(国立がん研究センター がん情報サービス 2017年6月14日更新分による)
図Aで示すように、20年前までは発症される方は減少していましたが、その後は増加傾向にあります。
特に40歳未満の女性の増加が目立ちます。
図Bをご覧になってわかるように、若い世代や子育て世代に多いがんで、発症してしまうと子宮全摘手術や子宮の部分切除によって、結婚、妊娠、出産、子育て、あるいはご自身のキャリア形成に大きな影響が生じます。一方でシニア世代になっても子宮頸がんは発症し続け、命を奪う原因となっています。
子宮頸がんの原因は「ヒトパピローマウイルス(HPV)」という病原体です。HPVはセックスの経験がある女性なら50〜80%は感染すると推察され、誰にでも起こりえることです。したがってほとんどすべての女性に子宮頸がんが発症する可能性があります。図Cを参照していただきますと、HPV感染後は数%の女性が前がん状態となり、その中から1%程度の方が感染後数年から10数年かけて子宮頸がんを発症します。
子宮頸がんとその前がん状態を早期に発見し、最小限の治療で最大の効果が得られ、かつ最小限の後遺障害で済ませるために、子宮頸がん検診を受けましょう。
最後にひとつだけ、子宮頸がんの対策は子宮頸がん検診で十分でしょうか?
子宮頸がん検診には死亡率を下げる効果はありますが、がんそのものを予防する効果はありません。
子宮頸がんは、現時点で「唯一の予防できるがん」なのです。
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本小児科学会、などは、「子宮頸がん予防ワクチン」接種の積極的勧奨の再開を強く要望しています。