まえだ婦人科クリニックでは、well ageingと称して、
「女性が上手に年齢を重ねる為のライフスタイルの形成」を一つの大きなテーマとして医療に取り組んでいます。
女性ならではの病気などのことを、まずは自ら知ることがひとつのキーポイントとなると私たちは考えています。
特に女性は86.61歳(2013年)と世界一の記録的な数字となっています。 男女の人口比率を考えてみると、出生時は男性105人に対して
女性100人と男性の方が5%ほど多く生まれますが、50歳時には男女はほぼ同数となり、
80歳になると女性が男性の約2倍の比率になります。 しかし、平均寿命とは「生命量の長さ」をいうもので「質の要素」は入っていません。
極端に言えば、日常生活動作が自立できていない寝たきりの方も含まれており、
健康状態の評価は全く加味されていないものとなっています。
そこで、日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる年齢「健康寿命」が、
重要視されるようになってきたという時代の背景があります。
最大の原因は、筋肉骨格の老化が男性よりも顕著であることが理由として挙げられます。 女性では骨粗鬆症の発症率が高く骨折が多いことや、筋肉量と筋力の低下も女性に多発します。これらの発症には、性ステロイド(女性ホルモン;エストロゲン、男性ホルモン;アンドロゲン)が深く関与していることがわかっています。またエストロゲン(女性ホルモン)は、脂質代謝、動脈硬化の発症とも深く関与していることが科学的に明らかにされています。エストロゲンの分泌量の低下(閉経期)と一致して、脂質異常症(高脂血症)の発生も増加します。
閉経年齢は平均52歳であり、女性は閉経後約30年つまり人生の3割以上を低エストロゲン状態で過ごすことになります。よって、この時期に上手にホルモン療法を行うことによって、女性の健康寿命を延長させることが期待できます。 また、低エストロゲン状態は閉経に限ったことではありません。精神的・運動・饑餓(無理なダイエット)などのストレスによって卵巣機能は低下し、比較的容易に生理(月経)は止まってしまいます。このことは、閉経に近いホルモン状態(低エストロゲン状態)になることにほかなりません。 健やかに年齢を重ねるためには、閉経期だけでなく若い年齢の時からの卵巣機能を意識したマネージメントが不可欠な要素と考えられているのです。